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協調か自立か  日米の育児観の違い

日本は、人間関係において和を重んじ、集団の中で仲良くやっていくことを重視する文化です。はたして正しい価値観でしょうか?日米の育児観の違いについて考えます。

日本で子育てに置いて重要視される価値観は、一般に、他人との協調や共感です。ある幼稚園で行われた、子どもの発達について重要と思われる言葉のランキング調査によると、
  1位 【思いやり】
  2位 【慈しみ】
  3位 【忍耐】
  4位 【社交性】
  5位 【想像力】 …でした。
これに対し、アメリカで子育てに置いて重要視される価値観は【自尊心】や【正義】といった言葉です。

日本では、子どもが、周囲の人と協調していくことに価値をおき、もし、他者と協調的でないならば、「まだ幼いから我がままなのだ」と捉え、本人の主張を肯定的に捉えようとはしません
つまり、日本では、我がままを言わなくなったり、親に反抗しなくなったり、周囲の人とうまく付き合って素直に言うことを聞くようになっていく過程を、発達と捉える傾向にあります。

そのため、日本では、本人が自分の意思をあからさまに主張しなくても、周囲がそれを【以心伝心】で察知することが期待されています
これに対し、アメリカでは、個人として目覚め、自立し、自分を主張できるようになっていくことを発達として捉える傾向にあり、【以心伝心】ではなく、言葉できちんと意思表示できること重視されます。
つまり、アメリカでは言語的コミュニケーションが、日本では非言語的コミュニケーションが重視されているともいえます。
子どもの写真1子どもの写真2子どもの写真3子どもの写真4

それでは、子どもの側からみたら、一体、どうなのでしょう?
乳児期・幼児期の子どもを調査した研究によれば、両親に対してスキンシップを求める欲求の強さや、両親との身体接触を維持したいという欲求には、日米の子どもで全く差はなかったのです。

このことは、生まれてすぐに両親と肌と肌とを接触させたい…という欲求は、ほぼ生理的に備わっていることを意味しています。そして、その欲求に対して、両親がどのように関わるかということに育児観が反映され、その育児観に沿った形で子どもは育てられます。


       アメリカは【ワンポイント・濃厚型】日本は【あっさり・密着型】

日本では、子どもが成人する頃になると、親子のスキンシップは急速に減少する。おそらく、これは、子どもの側からの拒否です。思春期になると、親とお風呂に入るのを拒否するようになります。ところが、アメリカでは、この反発はゆっくりと進みます。

しかし、成人して恋人をもつようになると、減少したスキンシップに対する要求不満を、今度は恋人で満たそうとするかのようにスキンシップが増えます。ところが、結婚して家庭をもつようになると、再度、スキンシップは減少します。
アメリカではこのような傾向はありません。年を重ねても、老夫婦が公園で手をつないで歩いているようなほほえましい光景が見られるのはアメリカであって日本ではありません

家族の写真1家族の写真2家族の写真3家族の写真4

この日米における違いは、スキンシップの量ではなく質的な違いが影響しています。
アメリカでは、両親と子ども達は寝室が別で離れている時間も長いのですが、子どもと離れている時間をとり戻すべく、親密さを高めるスキンシップをします。これに対し、日本では、母子は終始一緒にいるため、割とあっさりとしたスキンシップになります。

アメリカでは、自分を主張し時として相手と激しくぶつかりあう個人主義であるため、ぶつかりあいから生じるヒズミを修復するため、挨拶の際の握手や抱擁、頬や額へのキスといった、互いの親密さ高める肌と肌との接触が必要不可欠という訳です。

これに対し、日本では、互いに依存しあい協調しあいながら生きていくことがさらに強調されています。夫婦間でも【以心伝心】で全て暗黙のうちにわかりあい、お互い空気のような存在になるのが理想像といて挙げられています。極端なスキンシップや愛情表現が少ないのは、文化的に自然の成り行きといえるようです。



私たちは、育児観やスキンシップの量について考え、使い分けができれば子育てに自信が持てると考えております。
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